高麗川 川のまるごと再生プロジェクト 日高市の場合
埼玉県西部を流れる高麗川・高岡橋上流。この写真画面向かって左側の林沿いに、大規模な遊歩道が造られようとしている。高麗川は流れの緩やかな場所が多く、その気にさえなれば、遊歩道など無くとも、いくらでも歩けるのだ。(2007年撮影)
このプロジェクトは埼玉県の事業として、平成24年より県内各地で着手。
私の暮らす日高市はそのプロジェクトの呼びかけに対し、エントリー、
プレゼンテーションが通り、既にヒガンバナで有名な巾着田周辺は事業が進んでいる。
天神橋から清流橋、高岡橋を結ぶ遊歩道を川沿いに造るという。
同時にさらに下流への計画も進められている。
しかし、それらの計画は一部の人を除き、多くの市民にとっては寝耳に水だ。
県の情報公開を見ても、その詳細はまったく分からない。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1008/kawanosaisei/documents/554033_1.pdf
特に、清流橋から高岡橋にかけては、お藏淵をはさみ、両岸が懸崖もしくは竹林・樹林混交帯となっており、歩道を造るにはそれら樹林や岸壁、露出した岩等を切り崩し、あるいは平し、埋め立て、護岸することが必要だろう。
そんな大規模な工事にも関わらず、
市民の多くは着工目前に迫るまで何も知らされていないという事実。
一市民として、プロジェクトの進め方にみられる不透明さに対し、
どうにも納得行かないでいる。
なお、2015年8月3日現在、日高市webサイトから今回の遊歩道に関する情報ページを見つけることはできなかった。
写真に向かって左(右岸)の林は既に無く、住宅地となっている。
今回は右岸の河原と住宅地の間に遊歩道が計画されている。(2002年撮影)
川沿いのこのような立派なケヤキの主幹も既に切られ・・・(2009年撮影)
その伐採された巨樹の根元を遊歩道は通るらしい。
いったい、何のための遊歩道なのか?
はなはだ疑問が残るばかりだ。
周辺は二次林、屋敷林で覆われている。
その樹木に覆われた美しき光景を、
あえて伐採し、コンクリートむき出しの護岸を露わにしようとしているらしい。
その結果、景観が良くなったと感じる人は少ないのではないだろうか。
大半の近隣住民は、その姿に力を落とすに違いない。
奥武蔵・高麗郷を流れる高麗川は、写真家・嶋田忠さん渾身の名作、
写真集「カワセミー清流に翔ぶ」撮影地として知られる。
中でも高岡橋から清流橋にかけての一区間での撮影が内容の多くを占めている。
写真集の扉を開くと飛び込んでくる初めの一行
「高麗川に初雪が舞った」
その土地に生まれ育った者として、
これほど心揺さぶられる文字に出会ったことはそれまで無かった。
この写真集がきっかけとなり、
日高市(当時は日高町)では嶋田さんの講演会や写真展が開催され、
後に写真集に収録されたオリジナルプリントの寄贈までされている。
さらに、日高市ではこれをきっかけに、清流とカワセミを積極的にアピール。
日高市の鳥としてシンボル化されている。
今回、計画されている遊歩道には、この写真集に掲載されている撮影の多くのシーン、飛翔、ダイビング、ホバリング等の撮影ポイントとなった場所が含まれている。
果たして日高市はそのことをご理解しているのだろうか。
今、日高市は市のシンボルとなっているカワセミの象徴的な場所を、
清流復活の名の下に、自らの手で消滅させようとしている。
※参考として、以下にも関連と思われるページをリンクします。
okumusashi-bike.hatenablog.com
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