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奥武蔵に生きる写真家の表現と日常

絹さや

母が丹精込めて育てている様々な野菜。一年を通して我が家の食卓で欠かすことのできない貴重な植物たちだ。

今年、喜寿を迎えた母は数年前からリウマチで苦しんでいる。その痛い手足を引きずって、せっせせっせと畑へ向かう。

 

畑ではサヤエンドウが可憐な花を咲かせている。野生のマメ科植物と比べると少し大振りだが、色合いの柔らかさはそのまま食材としての美味しさに繋がる。

Webで調べるとサヤエンドウという名称はだいぶ曖昧なようだ。エンドウの軟莢種(なんきょうしゅ)つまり軟らかいさやのものを指すらしい。主に白い花を付けるようだが、我が家のものは赤系色だ。母の愛情がいっぱい詰まったとっても美味しいマメなんだ。

 

久しぶりに現役を引退したEOS D30にNewFD80-200 F4Lレンズを装着してスナップしてみた。

クローズアップは何と言っても楽しい。レンズを通した独特の世界が現れる。黙っていても背景がぼけ、余計なものが省略されるので、大体が上手く見えるのだ。ただし、ピントの合う範囲はとても限られ、野外では絶えず風との折り合いが求められる。

 

いや、肝心なのはファインダーの中の植物との折り合いかも知れない。

機嫌を損ねると、さぁ、撮ろうと思った瞬間、イヤイヤをされる。

それまで静かだった風が急に吹き始めるのだ。

まるでこちらの邪な心を見透かされたように。

こうなると短気な僕は大抵辛抱仕切れず、お手上げとなる。

 

それもこれも、我が心の有りようというものか。

 

そういえば、今度の日曜日は「母の日」なのか。

たまにはカーネーションならぬ、絹さやの写真でもプレゼントするか。