空に感じること
台風の影響で不安定な気流の中、
ようやく青空が顔を覗かせた。
絶えず西からの風が吹き上げてくる稜線で、
旨い空気を腹一杯吸ってみる。
肉体と精神に新しい活力が湧き上がる。
都心からほんの僅かしか離れていないのに、
空気がこんなに美味しいなんて。
空がこんなに深く、蒼いなんて。
智恵子は言った。
東京には空がない。
彼女の言葉の真意はさておき、
やはり、東京の空は死んでいるな。
旅からの帰路、
東京に近づくにつれグラデーションのようにくすんでいく空を見ながら、
いつも感じることだが。
(近頃は都心だけではない。周囲一都三県、瀕死の重傷だ)
2004.7.6 山梨・北岳稜線より
Canon NF1 FD28mm F2.8 RVP100