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奥武蔵に生きる写真家の表現と日常

夜明けの岳樺

北海道を旅した後、フェリーで青森へ渡った。 青森は名の通り森の国だ。 白神山地、十和田、八甲田・・・ よくぞ、これだけの森が開発されずに今に至ったと思う。 森に抱かれながら無性に誰彼なく、感謝したくなる。 もはやこんな時代だから、いっそ青森全域…

岩壁に生きる

深山に育つ岳樺(ダケカンバ)が好きだ。 たまらなく愛着を感じる。 山を歩いていて、見かけると思わずファインダーを覗いてしまう。 岳樺は白樺の仲間だ。 明るく開けた環境を好む白樺に対して、岳樺はもっと標高の高い(あるいは緯度の高い)場所に生息す…

午後のジャンダルム

岳沢側から絶えず湧き上がる雲間にジャンダルムが浮かぶ。 気の遠くなるような長い時間を経てできあがった自然界のフォルムは見る者を圧倒する。 魔性の黒い塊に多くの人が引きつけられ、そしてある者は帰らなかった。 大きな自然、偉大な自然を目のあたりに…

乗鞍岳

夜明け前。 山頂にかかる雲が真っ先に日に染まる。 折しもペルセウス流星群の極大日。 未明には幾多の光跡が流れていった。 神の山・乗鞍に朝の光が差し込む頃、 眠い目を擦りながら、登拝準備にかかる。 1999.8.13 長野・位ヶ原より乗鞍岳山頂方面を望む Ca…

西日を浴びて

夕日に照らされ、黄金に染まる雲が谷を駆け上る。 眼前には剣岳が黒々とした岩肌をさらしている。 背後では立山連峰が残照に燃える。 すっかり陽が沈んだあと、別山の稜線に煌々と満月が昇ってきた。 生きていることのありがたさをこんなにも感じた瞬間は、 …

夏の山上

日本海に面した白山には大量の雪が降る。 そのため山頂付近には夏になっても残雪が残っている。 絶え間なく流れゆく雪代(雪解け水)は加賀平野を潤し、 肥沃な大地を作る。 人々はその水を飲み、そこから生まれる米を食して生きている。 1994.8 石川・白山…

輪廻の森

森は命の回廊だ。たくさんの生命を育んでいる。 木はいつかは倒れる。しかし、一つの命が消えることで、 次の命へと橋渡しをする。やがて倒れた木は、新しい命となり、 再び森の王となる。 映画「風の谷のナウシカ」でオームは言う。 ワレワレハ コニシテ ゼ…

ご来光

小学4年と6年の娘たちとその友人や知人とともに、夜の富士山に登った。 七合目を過ぎた辺りから、数人が体調を崩し、足並みが遅れた。 酸素が希薄なためおきる高度障害だ。 やむなく一昨年に引き続き、八合目(3100m)で引き返すことにした。 しかし、このま…

夏雲立つ

午後の日差しを受け、御殿場付近から激しく雲が湧き上がってきた。 今にものしかかってきそうな、巨大生物のように。(ゴジラか) あるいはネバーエンディングストーリーに登場した岩男のようにも見える。 (私の写真には良く様々な顔が写っている。ただ、そ…

楽土成就

立山連峰、別山山頂で向かえた夜明け。正面に望むのは後立山連峰だ。 画面には無いが、対面には沈み行く満月が浮かぶ。 日の光と共に肉体に熱が宿る。 生きて新たな朝が迎えられたことを素直に感謝する瞬間。 私にとって山へ登ること・・・それは祈りに他な…