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奥武蔵に生きる写真家の表現と日常

神代杉(奈良県十津川村・玉置山)

杉の巨木というと屋久島を思い浮かべるが、かつて私にとってこれほど強烈に心を揺さぶられた木は他にはない。縄文杉以上の衝撃をこの木から得た。

何の予備知識もなく、気まぐれで訪れた玉置神社の奥にこの木はあった。推定樹齢3000有余年。幹周り11m、樹高30mの巨大な生命に神を感じても致し方のないことだろう。それまで自然界に対し、不用意に神という言葉を使わないようにしていたが、この時から私の認識は変わったように思う。私はゾクゾクするような興奮を感じながら夢中でシャッターを切った。だが、初見で写真が撮れるような対象では無く、私は再訪を余儀なくされたのである。

この写真は満を持して臨んだ二度目の訪問で撮らさせてもらった。

この木との出合があったお陰で、その後私は荒川源流へ向かうことができた。今の写真に対する基本姿勢はこの木から学んだと言っても過言ではない。それほど私にとって得難い出合だった。

 

1994.10.20 New Mamiya 6 50mmL F4 RVP

 

 

こちらは正面から見た写真。

幹の途中からたくさんの木々が共生しているのが判ります。

 

もしこの木を訪ねてみようと思われる方は、できるだけ一人で訪れてください。

間違っても多人数で世間話などしながら訪ねないでください。

それが巨樹に会いに行くための第一歩です。

そして、静かに対話しましょう。

他にもこの周辺には杉の巨樹が幾本か林立していますので、それらも訪ねられたら良いと思います。

 

1994.10.20 Canon NF1 FD35-70mm F2.8-3.5 RVP