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奥武蔵に生きる写真家の表現と日常

「DESTINY 鎌倉ものがたり」を観てきました

「DESTINY 鎌倉ものがたり」妻と観てきました。

先年来の予告編を見てからずっと楽しみにしていた映画です。

http://eiga.k-img.com/images/movie/86436/photo/8d4ad554a766fa50.jpg?1506300647     (C)2017「DESTINY 鎌倉ものがたり」製作委員会  DESTINY 鎌倉ものがたり : 場面カット - 映画.com

       

黄泉の国から愛する妻を連れ戻す! 

その結末もさることながら、魔ものや妖怪、幽霊など、
人間界に寄り添った存在が、
ともすれば感覚として希薄になりがちな現代において、
改めて彷彿させてくれる場面が多々あり、
本来、目に見えない存在との折り合いをつけながら生きてきた、
私たち日本人の日常的原初を顧みるひとつの機会となりました。

かつて、あの世とこの世の境界が希薄だった時代、
黄泉の国と現世を自在に往来するものたちの存在は身近でした。
いやいや、今の時代においても、そのような方々はいらっしゃるのでしょう。

わたしは、霊感、透視、幽体離脱など、まったく無縁なものですが、
そのようなことは、当たり前に存在するものと認識しています。

それは、いままで幾多に及ぶ自然界での撮影や、野宿によって感じ取った、
自分なりの自然界との折り合いの結果、やはりそういうものなのかと思うようになりました。

 

 

今回の「DESTINY 鎌倉ものがたり」の監督作品は、
ALWAYS 三丁目の夕日」以来の鑑賞となりますが、
両作品とも西岸良平作品が原作であることも重要です。
そして、山崎監督のVFXのエキスパートとしてハリウッド映画とは異なった表現の方向性に、
今後の日本映画の可能性を感じます。

SF、ファンタジーを中心に、
今後、CGを主体とした特殊効果表現は益々リアリティを深めることでしょう。
けれど、それとは裏腹に、スクリーンやモニター上でリアルになればなるほど、
私感ではありますが、かえって現実感は遠のき、
陳腐なものになってしまうように思います。

そのため、ハリウッドで増産されるSF・アクション系CG映画に対する羨望や興味は、
わたしの中でほとんど失われてしまいました。

よほど、ストーリー性に惹かれないかぎり、
そのような映画を観たいという思いは湧き上がってこないでしょう。

ちょうど今時期、上映中の米SF超大作完結編に対しても同感で、
CGもままならない時代に作られたエピソード4〜6に抱いたワクワク感は、
その後のデジタル改訂版からは消えてしまいました。

それは日本が誇る怪獣「G」に対する印象とも平行しています。

無論、わたし自身の思考や加齢による嗜好の変化も大きいことでしょう。
それでもなお、問いたいのは、リアリティとは何ぞや!ということです。

その点、リアリティと、非リアリティを適度にメリハリを持たせ、
行きすぎず、やり過ぎないといったさじ加減をうまい塩梅で使いながら、
東洋的な思想と背景に則った核となる物語性を固める、
山崎監督の手法にはいたく共鳴してしまうのでした。

ところで、山崎監督の撮ってみたい映画の筆頭に、
風の谷のナウシカ」の原作があるそうです。

宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」は劇場映画もさることながら、
月刊アニメージュに不定期で連載されていた宮崎駿原作の持つ世界観こそと思っています。

原作は、その果てぬ遠大さに、
作者自身、最後のまとまりが曖昧となってしまったきらいがありますが、
そこを山崎監督がどう仕上げてくれるのか観てみたい!
是が非にも実現化させて欲しいものです。

宮崎監督、宜しくお願いいたします。
日本映画の未来のために。