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atarashism@blog

写真家の日常と表現

一日で二度月を楽しむ・再び満月の荒川にて

日の出が遅く、日没の早いこの時期は満月の明るさを一日で二度味わうことができる。日照時間が少ない分、月は高々と天空を照らす。秋から冬にかけ、北半球の月は一段と神々しさを増す感じがする。

川本高校脇に掛かる植松橋から荒川の下流を望む。希望的観測では川の正面から月が昇る・・・はずだったが、甘かった。思いもかけぬ処から昇ってくるのが月というもの。江戸の庶民は月の出を予想し、皆で楽しんだという。そういう風流な感性が今の我々には欠如してしまった。

 

予想から大きく外れてしまった為、急ぎ場所を下流に移動。ウェルダーを履き、夕暮れの寒空の中、川の中ほどまで入り、ようやく川面の正面に月を配置。しかし、頭で描いたイメージとはちょっと違ってしまった。そしてその代償は大きかった。

 

そんなに遠くない場所でハクチョウたちが頻りに鳴いている。声は聞こえど、姿は見えず。心躍るも近寄ることは叶わない。

 

川底は荒川中流域特有の凹凸の激しい岩盤だ。そこにビッシリと藻が張り付いている。これがすこぶる滑りやすい。フエルト地の川歩き用の靴底でもつるつる滑る。

薄暗い中、足裏で川底を探りながら中程より岸へ戻る途中、見事深みにはまり転けてしまった。

首からは3台のカメラをぶら下げている。とっさに一番高額な300mmF2.8(通称サンニッパ)を守るのが精一杯。他の2台が水浸しになるのがスローモーションの様に見えていた。

直ぐさま車に戻り、可能な限り水を拭き取り、絞り出し、ヒーターを最強にして乾燥。水浸しになったのはカメラだけでは無く自分の体もだが、構っている暇はない。カメラボディはみるみる乾いてゆくが、レンズはそうはいかない。内部まで水が染みこんでいる。

応急処置をした後、自宅へ戻り、今度はコタツで乾燥。暫く、数日か・・・このままにしておこう。

 

しかし、ハクチョウたちが川面を歩くとき、よく足を滑らせているのを見かけるが、その謎がようやく判った気がした。それは、ひとつの収穫だ。冬の寒空、水浸しになってこそ、ハクチョウの心も判るものだ・・・と、強がっておこう。

 

 

参考に今朝撮った西空に沈みかける月と、夕方の東空から昇った月を同じ大きさで並べてみた。月面の模様・・・月ウサギの角度が大きく異なることに注目してみてほしい。写真はいずれも地上に対して平行に構えて撮影している。

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