atarashism@blog 新逹也の表現世界

藍の空画|聖天の宇宙|アミニズム・ヤオヨロズ・スピリテュアル

夜明け・燧ヶ岳(福島県檜枝岐村)

尾瀬・燧ヶ岳中腹。標高2100m地点で迎える夜明け。 山の端から太陽が顔を覗かせた瞬間、 燃えるような紅が木々を染める。 と同時に、私の体を鋭気が突き抜ける。 ほんのわずか5分ほどの出来事だった。 このあと空はにわかに雲で覆われていった。 折しも台風2…

尾瀬・小渕沢田代付近にて(群馬県片品村)

今や団体ツアーによるハイキングコースとして賑わう尾瀬ヶ原・尾瀬沼周辺だが、 少しメインルートから外れただけで、本来の静かな雰囲気を味わうことができる。 大清水から小渕沢田代(湿原のことを田代という)へ向かうルートもそのひとつだ。 若いヒョロヒ…

岳樺

三俣蓮華岳から流れる沢沿いをダケカンバが覆う。 風雪の絶え、見事に成長した木は美しくも力強い。 その光景にしばし見とれてしまった。 季節は足早に秋へと突入しようとしている。 やがて、烈風の季節がやってくる。 2004.9.11 黒部源流・富山 Canon NF1 F…

ケショウヤナギの古木

水面すれすれに立つ古木。 増水すれば根本まで水没するのは必至だ。 それでもあえて木はこの場所を生涯の地と選んだ。 たとえ、やがて洪水で流されようとも、 木はそれを喜び勇んで享受するのだろう。 水と木、どちらも元は一緒なのかも知れないと思う。 水…

深林美

噴火から長い年月を掛け育まれてきた成熟した森。 コメツガ、ブナ、ダケカンバなどが均等なバランスのもと、棲み分ける。 混沌とした中に保たれる見事な調和。 そこには得体の知れない気配が漂っている。 半分は、私自身のおびえた感情。 残り半分は、山の持…

シラカバの森

標高1500m。八ヶ岳山麓に広がる八千穂高原。 この辺りは日本有数のシラカバ群生地として知られる。 シラカバは明るく光の注ぐ開けた場所に育つ。 幾度となく噴火を繰り返し、その都度、荒涼とした原野を、 せっせと森に変えるのが役目だ。 ところが、ようや…

落葉に思う

森の中の小さな池。 無数の落ち葉が幾重にもかさなり、朽ちようとしている。 水中で腐葉化するまでどれほどの時間がかかるのか。 やがて、再び池端の木々の養分となり、 更には沢の流れに揺られ多くの生物たちの糧となる。 むろん、人も有形無形にその恩恵を…

岳樺 の夏

古い写真だ。 私が22才の時のもの。 特にどうということのないものだが、とても思い入れのある写真の一つ。 なぜなら、日本アルプス初体験で撮ったものだから。 この頃からコダック製のコダクロームというリバーサルフィルムを使い始めた。 それ以前の国産フ…

水と森

極相を謳歌するブナの森から霧が立つ。 水の精が天に昇る瞬間か。 天と地を循環する水。 森はその浄化役だ。 水によって森は生気をたたえ、 浸み出す水は肥沃な栄養を海へと運ぶ。 海と森。 どちらも水に包まれている。 1995.8.26 青森・白神山地 Canon NF1 …

森の清水

関東ではもっともまとまったボリュームのブナ林がある玉原。 その樹間の流れはあまりにも清楚だ。 ブナの葉が堆積した沢と呼ぶにはあまりにも小さな流れ。 どこからともなくしみ出す水はやがて大河となり太平洋へと向かう。 一粒、一粒の水に命を感じる。 命…

夜明けの岳樺

北海道を旅した後、フェリーで青森へ渡った。 青森は名の通り森の国だ。 白神山地、十和田、八甲田・・・ よくぞ、これだけの森が開発されずに今に至ったと思う。 森に抱かれながら無性に誰彼なく、感謝したくなる。 もはやこんな時代だから、いっそ青森全域…

ミズナラ

八甲田から十和田湖方面へ移動する途中、 蔦温泉というシンプルでシャープな温泉がある。 その裏手に広がる森は多くの写真家を魅了する。 故前田真三氏のお気に入り撮影地でもあった。 その一角に端正なミズナラの森がある。 ブナが多いこの周辺で、ミズナラ…

輪廻の森

森は命の回廊だ。たくさんの生命を育んでいる。 木はいつかは倒れる。しかし、一つの命が消えることで、 次の命へと橋渡しをする。やがて倒れた木は、新しい命となり、 再び森の王となる。 映画「風の谷のナウシカ」でオームは言う。 ワレワレハ コニシテ ゼ…